2次元物質の代表であるグラフェンには、ディラックが発見した相対論的粒子が従う運動法則を、実験室系において検証できる舞台としての物理的価値があります。
このグラフェンの幾何学的性質が量子力学的粒子である電子の現れ方こそが、トポロジカル量子効果として世界的に注目を浴びています。
私達は、この効果を人工的にコントロールして生み出すゼロモードの物理を使って、量子コンピュータの素子を設計することもできることを研究しています。
ところが、このグラフェンの化学的性質に着目すると、社会的ニーズに応えることができる様々な応用が見つけ出せます。水素を貯蔵して安く安全に運搬できる物質や、炭化水素から水素を選択的に抜き取って水素ガスを作り出す、水素貯蔵や水素製造の触媒効果があるのです。